当時俺は、一人のアイドル歌手のマネージャーをしていたのだが
なんということか、彼女はこの俺の目を掻い潜りいつのまにやら
どこぞの男と付き合っていたらしい。その挙句の果てにはとうとう子供まで
出来てしまい彼女は、あっけなく芸能界を引退。




「・・・・おっさん連中に文句言われるのは俺なんだけど」




まぁ・・それでも彼女が幸せそうに笑ってこの世界を去っていたことは
嬉しいんだけどね。・・・なんて、思ったのは5秒だけ。
社長室に呼ばれた俺は、案の定おっさん達に3時間もクドクド文句を言われ
挙句には派手なおっさん・・・社長に愛の素晴らしさを延々語られた。





(スキャンダルは懲り懲りだ・・・・毎度毎度こんなのやってられない)






そんなやり取りがようやく終わり社長室をやっと脱出
しばらく有給休暇でも取ろうか・・・・なんて思っていた俺に
部屋の主がこう言った。






「楠田君・・・・君に京子のマネージャーをしてもらいたい」








は?







何言ってるんだこのおっさん。
俺は、しばらく有給取るんだ。今そう決まったんだ(俺の中で)






「・・・・・京子って誰?」







そう・・・・俺はキョ―コを知らなかった。
ラブミー部というヘンテコな名前の部署が出来たというのは知っていたが
なんせ俺は、自分でも言うのはなんだけどご多忙な部類だった。


そんな訳で「ラブミー部」に興味なんてこれといって抱かなかった。







「京子を知らないのか?あの目に痛いドピンク繋ぎの二人組の片割れを!!」



驚く椹のおっさん。
そんな・・・驚くことか?



「楠田君。君、DARKMOONは見たか?」
「ええ。見ましたよ。社君ところの坊やが出てるのでしょう?
美緒役の子が俺的にはGOODでしたけど?あの子うちの事務所の子なんでしょ?
誰なんです?」






久しぶりに見ごたえのあった映画だったせいか俺はべらべら語った。
そして俺が聞き返してみると。







「その子が京子だ。」






これが俺がキョ―コを知った瞬間。









世界は加速し始める

(全部君だった過去編 / スキップ・ビート!)