12月25日――― なんとかスケジュールをこなして教会へと向かう。 ニヤニヤ気持ち悪い笑みを浮かべた楠田にからかわれ、恥ずかしさのあまり 彼に一発お見舞いしてやったことは彼女だけの秘密である。 「ホワイトクリスマスなんて久しぶりだわ・・・・」 吐く息は白く消えていく。コートにマフラーをしていても、やはり真冬だから 寒くないわけはなく、いまだ姿を現さない彼を待っていた 教会の中からは讃美歌が聞こえてきて、その美しい歌声に聞き入っていた どれだけ経ったのだろう、人影がこちらへと近づいてくる じっと見つめていると徐々に距離は縮まってきて、目の前で息を整えて いるのは彼女の待ち人・・・・敦賀連 「すまない・・・急に1つ仕事が入って。待たせてしまったね。」 本当に申し訳なさそうに謝る彼に、実は少しだけ機嫌を損ねていた 彼女は怒る気も無くなってしまった 「いいの。気にしないで・・ね?それよりも・・・・頭に被っているそれ何?」 彼が近くに来た時からずっと気になっていた、赤い帽子 まさか 「久しぶりにお姫様に逢うから、なんでもお願いを聞いてあげようかと思ってね。 サンタになってみました。」 そう言う彼の表情はなんだか誇らしげで、犬ならきっと尻尾を振っているに違いない。 (でも、この人大きいからゴールデンレトリバーかしらね・・・) なんてムードもかけらもないことを彼女が思っていることを彼は知らない。 「どう見てもサンタに見えないんだけど。」 「何言ってるんだ、今日の俺は敦賀サンタだ。」 「・・・・・・・そういうことにしてあげる。」 どうせサンタにするなら全部してくれなくちゃ 髭やら、そうねあと上下もサンタの格好で!!!! サンタといえばおじいさんじゃないの?こんないい男がサンタだったら 世の女性がプレゼントよりサンタ欲しがるんじゃないの? 「今日は何なりとお申し付け下さいませ。お姫様。」 影が重なり 冷たい彼の唇が重なった |