全部、君だった
・・・05.終わりの見えない明日








数日後、LMEにて女優、京子の帰国会見が開かれ
テレビ局・マスコミ関係者が駆けつけたのだった。




京子の専属マネージャーである楠田は、会見の様子を裏から
見て安堵の表情を浮かべながら、キョーコは女優なのだと改めて実感していた。



この会見の10分前、キョーコは少し緊張していた。
しかし、今のキョーコは完璧に、女優である京子になっている。
いや・・・女優である京子を演じきっていると言った方が正しいのかもしれない。






4年前まだ少し幼い印象を持ち合わせていたキョ-コだったが
今のキョ-コは精神的にも、また外見も大人の女性へと変貌した。
そして、演技もまた4年前より磨きがかかった。





この4年間、キョーコを傍で見守っていた楠田は、キョーコの
苦しみも孤独も全て理解していた。
その、全てを乗り越えキョーコはまた、日本へと戻ってきたのだ。










すでに京子への出演依頼は殺到しているはずだ。
自分もこれから忙しくなるなと嬉しい悲鳴をあげたい気分だ。
だが、その前に――――確認しなければならない事が楠田にはあった。









「君の本心を聞かせてもらわないとな―――蓮・・・いや敦賀君。」