全部、君だった
・・・58.出来ることなら、いつまでもあなたに恋していたかった









あなたと出逢ってもう5年以上の時が経つ。




最初は、お互いに感情がないようなそんな関係だけを繰り返して
だけど、あなたと過ごす内に私の中にはあなたの存在がだんだん色濃く
なってきていて、でも、だからといってあなたとどうこうなりたい
そんな事を言うつもりもなかったの。
そんな事想ってはいけないと。そう 自分に 言い聞かせて。







だってあなたの瞳に映っているのは彼女だから。



けして私をその瞳に映してはくれないと思っていたから。










だから私は物分かりのいい、後腐れのない女を演じた。
あなたに 嫌われたくなかったから。
たとえそれが、身体だけの関係でも それだけで私は・・・・・。






そんな頃だった。あなたの前に、再び彼女の影がチラつき始めたのは。
そして、それがきっかけだったのかもしれない。
あなたへの想いを隠すことが出来なくなってしまったのは。
彼女に対して嫉妬という感情が生まれたのは。
それまでの私は、どこか諦めていた、彼が私を見てくれる訳がないと思っていたから。









楠田という彼女のマネージャに連れられ現れた京子さんを目の前にした時、私はその場から動けなくなった。
若くして日本を代表する女優と言われたその人に、私はけして勝つことは出来ないだろう。
全てが違いすぎていた。芸能人としての品格、立ち姿、ひとつひとつの仕草。
呆然と立ち尽くしている私に、彼女は優しげに微笑んで・・・・・・・。









































「京子との共演が決まった。」


彼からの電話に出ると、その一言だけ言い蓮は黙り込んでしまった。
きっと現場で何かあったのだろう。電話口からでも伝わる動揺した様子。
今すぐ逢いに行って傍に着いていてあげたい。
だけど、生憎と今週はみっちりとスケジュールが入っていて。
今日は火曜日。土曜日の午前中の撮影さえ終われば来週3日ぐらいは予定は入っていない。



「蓮?何かあった?」

「・・・・・・・・・・いや、なんでもない。」

「そう?ならいいんだけど。ねぇ、土曜日から泊まりにいってもいい?」





蓮。あなたは隠しているつもりだろうけど。
私には分かってしまうの。何かあったんでしょう?
何か思いつめているのでしょう?
隠さないで、私にも、一緒に考えさせてほしい。
私はあなたに、ただ優しくしてほしくて一緒にいるわけじゃないの。




























「・・・・さい、うるさいっ!お前に何が分かるんだっ」




帰ってきた彼は、まるで全てを拒むかのように荒んで
何を言っても、耳には入っていないようだった。
ただ、自分以外の存在を拒否しているようだった。





その苛立つ感情を消化したいが為だけに蓮は私の身体を求めた。
今までこんなに乱暴で、思いやりも何もない抱き方をされたことはなかった。
冷たいフローリングの上に乱暴に押し倒され、声を上げる私を無視し
身に着けていたシャツのボタンを引き千切られ下着も、一緒にビリビリに破られて。



恐怖で震えが止まらない。声さえも。
目の前にいる男は、ただの獣と化していた。



露わになった胸を両手で乱暴に鷲掴み、激しく揺さぶられ、
声が上がると、唇を塞がれて咥内を舌が激しく蠢いていた。
そしていつの間にか脱がされていたショーツを投げやり
慣らすこともせずそのまま無理やり挿入され




「痛いっ・・・・・嫌っ、やめっ・・・・助けて!」
「うるさいっ。黙れっ・・・・」











蓮。




私は、あなたを愛してます。





こんな風にされても、







まだ







あなたを想わずにはいられない。





でも







きっと、あなたは違うの。






蓮。







出来ることなら、いつまでもあなたに恋していたかった