蓮は悪くない。 どうして、あなた達はこの人ばかりを責めるのよ。
「そんなっ!そんなこと・・・知らないっ!あの人がどうなろうと、どうしようと、 私と蓮には関係ないじゃないっ!どうして蓮を責めるのよっ!!」
奈津子のその言葉に、奏江の平手が飛ぶ。 奈津子を打った奏江の頬には涙が伝っていた。
「・・・・・そうね、あなたには関係ないわね。 キョ―コが居ない方が、あなたにはいいわよね。 そうすれば、あなたの愛する敦賀さんの心はあなたのものになるもの。」
奏江のその言葉は、まるで奈津子の心を見透かしているような言葉だった。
蓮にも言った事もない自分の気持ち。 蓮の心には未だにキョ―コがいる。そのことを知っていた奈津子にとって キョ―コは手の届かない忌まわしい存在でしかなかった。
「・・・でも、私達には必要なのよ、あの子の存在は。もちろん、敦賀さんにもね」
奏江はそれだけを言うと、尚に帰るよう促し、自分もまた出て行った。 残された、蓮と奈津子の間には重々しい空気が流れていた。
「奈津子・・・」
「・・・・よね。・・・かなわないわよね。あなたの隣に居るのは私なのに あなたの心を埋めているのは、今もあの人なのよ。本当・・・なんなのよっ」
あなたを想う気持ちは誰にも負けない。 それでも、あなたの心に・・・・あの人が居る限り 私には・・・・・・・・。
だからね 蓮。
私、決めたわ。
あの人に、会いに行く。
会って確かめるわ。
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