全部、君だった
・・・38.言えない言葉、言ってはいけなかった言葉
" 私と彼はもう・・・・一緒にはいられない。いられないのよ "








彼女の切ない、その言葉が私の胸に突き刺さった。この人は、私と同じ思いを抱えていたのだと・・・・
自分はいつまで蓮と一緒にいられるのだろう。いつ見捨てられるのだろう。
その不安は蓮と一緒に居ても消えることはなかった。
だけど、この人は、京子さんは知らない。彼の孤独を、彼がいつだって貴女の姿を求めている事を。





" 愛していた彼女を・・キョーコを "








蓮の心はあなたにしか向いていないのに。
それなのに・・・あなたはそれを私に言うの?








「・・・・んか」








私の中で渦巻くどす黒い感情。
頭の中では、分かっているのに・・・











「・・・んか、あなたなんかいなければよかったのにっ!!!」
















私のその言葉に、彼女はただ黙っているだけだった。














その数日後、彼女はその姿を消した。誰にも何も告げることなく
彼女がいた病室には一枚の紙だけが風に揺らされながら残っていた。

















おそらくあの時、彼女は決めたのだろう・・・
今になってそう思えた。そして自分の言葉がどれほど彼女を追い詰めたのかということも。



















あなたは、けして私を責め様としないけれど
私、今でも後悔してるの。あの日のことを。







京子さん


あなたは今どこにいるの



そして・・・何を思っていますか