全部、君だった
・・・12.どうしたら、嫌いになれるの




「え・・・・」






今楠田さんは何を言ったのだろう。







敦賀蓮








彼の口からは確かにその名前が出て来た。4年前のあの日から楠田さんが、
自分からはけして口にすることはなかった名前。



「敦賀君の事は聞いているだろう?俺は今彼が何を思い考えてあんな行動を
しているのかを知りたい。社の話しでは、彼がおかしくなったのは4年前からだ。
キョ-コ・・・4年前のこと話してくれないか。」



楠田さんの低い声が頭の中に響く。



4年前・・・のことを話せと言うの?あの時、私は別れを告げられるとは思わなかった。
待ってて欲しかった。あなたならそう言ってくれると思っていたのよ蓮。




だけどあなたの口から出て来たのは---別れ。
私は、今もあなたを愛しているわ。だけど、あなたは違うのでしょう?



脳裏に浮かぶのは幸せだった頃。



どうしてこんなことになったのだろう。
どうして?全部私のせいじゃない。




私が蓮に別れを選ばせた。
別れを告げさせた。






全部私のせい。







そう----全部。








「・・・・・・・分かりました。」