それから2日後。社から楠田の携帯へ連絡が入った。 楠田は自分の手帳を広げ素早く調べると1つ返事で了解する。 携帯の電源を切り、楠田は手帳にそのことを書き込みながら ふと撮影中のキョーコを見た。 (傍から見れば元気そうなんだけど・・・・どうかしたのか?) 化粧で分からないようにしているつもりでも 長い時間共に行動している楠田の目はごまかせやしない。 しかし、なんでも自分が手助けしていてはキョーコの為にもならない。 それにキョーコとて、いちいち自分に干渉されるのは嫌だろうとも思う。 楠田は少し気にはなったが、その場ではとりあえず気付かなかったことに した。この行動を楠田は後に後悔するのだが、この時はさすがに勘の鋭い 彼も気付いてはいなかった。 撮影が終わって車を走らせながら楠田はキョーコにぎりぎりまでふせていた 今日のこれからの予定を告げる。 「キョ−コ、これから行くところはスタジオでもテレビ局でも事務所でもない」 「?」 「これから行くところは・・・・お前もよく知っているところだ。」 「私の・・・よく知るところ?」 キョ−コの顔色に少しばかり影がさす。 車は丁度赤信号で止まり、楠田はキョ−コを見て告げる。 「敦賀蓮・・・・彼のマンションだ。」 |